【2020年版】ご自宅に太陽光発電を導入するなら(パネルメーカー編)
初めまして。再エネ太郎です。正式な名前はまだ決めていません。
商社で働いており、国内での太陽光システム・蓄電池の販売やメガソーラー発電所の開発、次世代電力系ベンチャー企業への投資案件等に従事してきました。
太陽光に関して言えば、太陽光パネルの原料調達からパネル販売、発電所の開発からベンチャー企業への投資と川上~川下の分野まで携わってきたので、それなりに詳しいのではないかと思います。
太陽光発電に関しては色んな情報が溢れかえってますが、商社マンとしての目線で有益な情報を提供していきたいです。
さて今回は、太陽光パネルメーカーについて書いていきます。
日本での太陽光産業の根幹を支えているのは住宅向けの太陽光だと個人的に考えていますし、経済的にも、災害対策にも今後の電力インフラ整備の意味でも、自宅に太陽光発電システムを導入することは良いことだと考えています。
理由はまたどこかで書くとして、皆さんが一番気にされるのは「パネルメーカーをどこにするか」かと思います。
私の経験から、パネルメーカーを選ぶポイントを3つあげるとすると
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価格
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サポート体制
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会社の存続性(信用力)
と考えています。
パネルの品質もあげたいところですが、国内・海外メーカーでほとんど品質に差がなくなってきていますし(国内メーカーもほとんどが中国企業のOEM(受託製造))、住宅レベルだと発電量にもそれほど影響ないので、今回は敢えてあげていません。
おススメは最後に書きたいところですが、ここはビジネスマンらしく結論ファーストで申し上げると、総合的な実力では
ハンファQセルズ(韓国)とカナディアンソーラー(中国)
が最適なメーカーだと考えています。
価格
ここはもう海外メーカーのほうがシンプルに安いです。
提案される工務店などの会社様の調達力によるところもあると思いますが。
2018年の太陽光パネルの世界シェア TOP10はざっと下記の通りです。
「え、日本のメーカー入ってないじゃん」と思ったアナタ、そうなんです。
SHARPやPanasonic、京セラがトップ10に名を連ねていたのも、約10年前。。
出荷量ベースでも1位のJinkoは10GW(=10,000MW)を超えているのに対して、SHARPは約1GWと10分の1以下です。
出荷量・製造量の多いメーカーがボリュームメリットをとることが出来て安く、R&D(研究開発費)や工場の新設もどんどんおこない品質も向上していきます。
住宅用の太陽光発電システムの構成要素は太陽光パネルだけではないので一概には言えませんが、システムの中で一番高価なパネルの価格は、全体の価格に大きく響いてきます。
太陽光ビジネスの世界では、メガソーラー等の大型発電所やプロジェクトにおいては採用するのはほぼほぼ海外メーカーで、国内と海外メーカーでは10~20%ぐらいの価格差がある感覚です。
コスト競争力のあるのは 海外メーカー>国内メーカー これは明らかですね。
カナディアンソーラーとハンファQセルズ以外は、日本の住宅市場ではあまり見かけないかもしれません。上位のJinko、JA、Trinaは国内でも産業市場ではメジャーなメーカーです。
国内メーカーだと、価格ではソーラーフロンティアが頑張っている印象です。
② サポート体制
サポートといっても色々ありますが、ここでのサポートはパネルやシステムの出力(性能)保証、不具合発生時の対応を指しています。
基本的なサポートは太陽光パネルを設置した設置業者が行うのが通常ですが、このご時世、その設置業者が倒産しないとも限りません。
またパネルメーカーが保証している内容以上のことは、設置業者から対応引き出すことも難しいので、「パネルメーカーとしてのサポート」がどうなっているかを確認することは重要と考えています。
保証については、日本でのスタンダードはこんなところでしょうか。
太陽光パネル出力保証(発電量保証) :25年~30年
システム保証 :10~15年
出力保証は初年度の発電量を100として、25~30年後に〇〇%のパフォーマンスを保証します、というメーカーとしてのコミットです。大体70~80%前後ですかね。ここは正直あまり差がつかないと思ってます。保証期間も各メーカーで大体一緒ですし、25年後に「メーカー保証値は80%保証となってるのに、うちのパネルは60%しか発電してないんですけど!怒」というような発電量低下を数値で表すことは、一般家庭レベルでは不可能に近いからです。
それよりもシステム保証が重要です。システム保証とは一般的に、システムの故障に対して保証を出してくれるものです。
太陽光パネルはほとんど壊れませんが、パワーコンディショナー(パワコン)はたまに故障します。このパワコンまでカバーしてくれるシステム保証は、長ければ長いほうが
良いです。最大で15年までですかね。
システム保証を適応してパネルやパワコンを交換する場合に、交換工事費用まで含まれているかどうかは工事会社に確認しておくことをお勧めします。
一部の国内メーカーを除いて、システム保証適応時の保証範囲は「代替品(新品)の送付」となっているので、工事費用は設置業者負担となることが多いからです。
保証面では、システム保証は海外メーカーの方が手厚い(無償・15年)ケースが多いです。国内メーカーだと10年迄はデフォルトでついてきますが、15年システム保証は有料というケースも。ただ国内メーカーでも例えばSHARPは「設置工事まで含めた保証」を提供するなど、趣向を凝らしたサービスを提供しています。
サポート体制は、数年前までは国内メーカーに軍配が上がっていましたが、海外メーカーも知名度の差を補うべく手厚い保証を提供しており、今は国内・海外メーカーともに
大差がないといえるでしょう。
③ 会社の存続性(信用力)
2つ目のポイントとしてあげたサポートも、パネルメーカーが倒産(or日本法人撤退)などしてしまえば、サポートを受けることが不可能になります。
そもそも太陽光パネルの保証期間が25年~30年なんていうのが長すぎるんですが(家電製品で30年保証なんて聞いたことないですよね?!)、
長いに越したことはないので、出来るだけ信用力のある、日本のマーケットに根差した展開をしているパネルメーカーを選ぶことが得策です。
とは言ったものの、どのメーカーだ倒産しそうかなんて、この業界で働いていても正直わかりません。笑
倒産に限らず、例えば海外メーカーであれば日本法人からの撤退、国内メーカーでも太陽光の部門が収益を上げていなければ、太陽光事業からの撤退or他企業への売却(SHARPや東芝でもあったくらいですしね)などが考えられます。
国内メーカーであれば、仮に太陽光事業から撤退したとしても、企業としての社会的な責任がありますので、アフターメンテナンス等のサポートは継続する可能性は高いでしょう。国内メーカーの有名どころであれば、信用力は問題ないです。
さて海外メーカーですが、これも有象無象の魑魅魍魎メーカーがピンキリなので、冒頭に申し上げたハンファQセルズとカナディアンソーラーが信用力が高そうという理由を
書いていきます。
2012,13年頃から日本でメガソーラー発電所の建設が相次ぎました。発電所建設のためのお金を銀行から融資を受ける際、採用する太陽光パネルメーカーの信用力を当時はかなり見られており、海外メーカーだとNGというようなこともありました。その状況にあって、プロジェクトファイナンスといった条件の厳しい融資でも認められるようになったのが、このハンファQセルズとカナディアンソーラーです。
ハンファQセルズは、韓国の大手財閥ハンファグループ(日本でいうところの総合商社)という超巨大企業で、太陽光以外にも化学品、建設、金融、リゾートなど多角的に事業を行っており、会社の基盤としては申し分ないです。
数年前は、日本法人のイメージキャラクターとしてトリンドル玲奈さんを起用していましたね。今はユンチェヨン選手などのゴルフプレイヤーのスポンサーもつとめており、日本市場における知名度を高めようとしています。
カナディアンソーラーは、名前にカナダと入っていますががっつり中国企業です。イメージ戦略ですね。笑
世界の出荷量ランキングでも常にトップランカーとして成績を残してきており、早い時期からアメリカのナスダック市場に上場を果たすなど、有数のパネルメーカーです。
また2社とも日本法人で200名弱の人員を抱え、営業・物流拠点を日本の主要都市に複数拠点構えるなどして、日本に根差した営業活動を行ってきています。
他にもいろいろありますが、海外メーカーの中でもこの2社であれば、信用力の高いパネルメーカーだと少なくとも私は考えています。
ということで、価格が圧倒的に安く、サポート面・信用力という面でも申し分のないハンファQセルズとカナディアンソーラーの2社が、商社で働いてきた目線で見ておススメのメーカーです!!
疑問やここ間違ってますみたいのあればコメントください。